個別避難誘導システム

マルチエージェント技術を用いた避難誘導システムとその実験手法 (2004~2008)

都市上の群衆に対する個別誘導(メガナビゲーション)に関する研究に取り組みました.このような大規模な都市を対象とした情報システムを実現するために,"(1)個別誘導に関する研究"と"大規模な社会情報システムの検証に関する研究"に取り組みました.前者の個人の性質や状況に合わせた誘導を実現するために,誘導するエージェントを個々人に割り当てる手法について研究しました.また,後者の大規模な社会システムの分析を実現するために,大量の被験者を用いて実証実験をするのではなく,マルチエージェントシミュレーションと被験者実験を組み合わせる拡張実験という手法を研究しました.

個別誘導に関する研究:GPS携帯電話を用いた個別避難誘導実験

京都大学情報学研究科社会情報学専攻メガナビゲーション研究グループ(石田亨教授)として,(株)KDDI研究所の協力を得て,実証実験を行いました.本実験は,エージェント技術を用いて,GPS携帯電話のユーザに災害情報や避難誘導などの位置依存のサービスを個別に提供するものです.実験の参加者は,各自のソフトウェアエージェントから, 避難場所の位置や周辺の情報をGPS携帯電話で受け取り,指定された場所へと避難します.この実験を通じて,社会的なインフラとして定着してきたGPS携帯電話を用いた個別誘導の可能性を検証しました. ソフトウェアエージェントを通じてユーザに情報を送る技術として, 戦略的情報通信研究開発推進制度の助成を得て, 京都大学, 日本アイ・ビー・エム(株), NTT西日本みやこ支店により開発された大規模エージェントシステム(Caribbean/Q)を用いました.

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大規模な社会情報システムの検証に関する研究:拡張実験

拡張実験では,利用者をエージェントによってシミュレートすることで,実験に参加する人間の被験者の数を抑えた上で,多数の利用者が当該システムを使用する状況を擬似的に再現するものです.この拡張実験を行うことで,大量の被験者による実証実験を行うことなく,システムの問題点を洗い出すことができると考えています.

主な関連論文

論文のダウンロードは 研究成果一覧をご覧下さい.

  • Yuu Nakajima, Hironori Shiina, Shohei Yamane, Hirofumi Yamaki, Toru Ishida. Disaster Evacuation Guide Using a Massively Multiagent Server and GPS Mobile Phones. The 2007 International Symposium on Applications and the Internet (SAINT-07), Hiroshima, JAPAN, Jan. 15 – Jan. 19, 2007. (18/64=28%) [bibtex] [PDF] 第23回テレコムシステム技術学生賞 受賞
  • 中島悠, 椎名宏徳, 服部宏充, 八槇博史, 石田亨. マルチエージェントシミュレーションを用いた避難誘導実験の拡張. 情報処理学会論文誌, Vol.49, No.6, pp.1954-1961, 2008.
  • 日経新聞(2006年1月13日夕刊 14面) ,朝日新聞(2006年1月13日夕刊 14面) ,産経新聞(2006年1月13日夕刊 15面),毎日新聞(2006年1月13日夕刊 10面),読売新聞(2006年1月13日夕刊 15面),京都新聞(2006年1月13日朝刊 28面),Daily Yomiuri(2006年1月14日朝刊 02面)