マルチエージェントシミュレーション

都市交通シミュレーション

マルチエージェントシミュレーションは人々の行動が創り出す複雑な社会現象の再現および分析に用いられている技術です.この研究は,日本IBM東京基礎研究所との共同研究から続いているものです(関係するIBMのテレビCM:リンク先ページ上の”Play media”をクリックして下さい).

下図の左は,平常時の京都市内の交通流をシミュレーションしたものであり,下図の右は京都市内の四条通を車両通行止めにするという社会実験を実施したときの交通流を模擬したものです.このように,社会的な実験を実際に実施することなく,計算機上で実施・検討できるようにすることを目標としています.

Nomal
Regulated

また,大規模な都市交通シミュレーションを活用するには,シミュレーション結果の可視化も重要になります.ビューアに関しては,大規模マルチエージェントシステムに基づく都市交通シミュレーション用ビューアという記事を参照下さい.

運転モデルの獲得

エージェントシミュレーションを実施するには,どのようにして人間の行動モデルを獲得するかが重要となります.そこで,ドライビングシミュレーションのログデータから,個々のドライバーの運転モデルを獲得する研究に取り組みました.

このモデル獲得プロセスは,以下の様なステップで行われます.(1)実験参加者にドライビングシミュレータ上で運転をして貰います.(2)実験後に,実験参加者に運転したビデオを見えながら「なぜそのような運転をしたのか?」というインタビューをし「運転ルール」を獲得します.(3) その「運転ルール」に基づいて,実験参加者のアクセル/ブレーキ操作を説明出来るようなルールの集合とルールの優先順位を行動モデルとして獲得します.この手法により,被験者がどのような行動ルールをどのような優先順位で用いたかを知ることができます.

ModelDriver

主な関連論文

全論文は 研究成果一覧をご覧下さい.

  1. 服部宏充,十見俊輔,中島悠 大規模マルチエージェントシミュレーションに基づく社会システムデザインの可能性. 電子情報通信学会論文誌, Vol.J100-D No.2, pp.180-193, Feb. 2017.
  2. 中島悠,服部宏充. マルチエージェントシミュレーション統合のためのシミュレータアーキテクチャ. 情報処理学会論文誌, Vol. 53, No. 11, pp. 2477-2484, Nov. 2012.
  3. Hiromitsu Hattori, Yuu Nakajima, Shohei Yamane. Massive Multiagent-based Urban Traffic Simulation with Fine-Grained Behavior Models, Journal of Advanced Computational Intelligence and Intelligent Informatics (JACIII), Vol.15 No.2, Fuji Technology Press, pp. 233-239, Mar. 1, 2011.
  4. Hiromitsu Hattori, Yuu Nakajima, Toru Ishida. Learning from Humans: Agent Modeling with Individual Human Behaviors, IEEE Transactions on Systems, Man, and Cybernetics Part A:Systems and Humans., 41(1) pp. 1-9, Jan. 1, 2011.
  5. 服部宏充, 中島悠, 石田亨. 参加型モデリングに基づく運転行動モデル構築手法. 電子情報通信学会論文誌. Vol. J92-D, No. 11, pp. 1927-1934, Nov. 1, 2009.
  6. Yuu Nakajima, Hiromitsu Hattori. A Simulator Integration Platform for City Simulations. The 14th International Conference on Principles of Practice in Multi-Agent Systems (PRIMA-2011), Lecture Notes in Computer Science, Springer, LNCS 7047, pp. 484-495, 2011.
  7. Yuu Nakajima, Shohei Yamane, Hiromitsu Hattori. Multi-model based Simulation Platform for Urban Traffic Simulation. The 13th International Conference on Principles of Practice in Multi-Agent Systems (PRIMA-2010), Lecture Notes in Computer Science, Springer, LNCS 7057, pp. 228-241, 2012.
  8. Yuu Nakajima, Yoshiyuki Nakai, Hattori Hiromitsu, Toru Ishida. Wide-Area Traffic Simulation Based on Driving Behavior Model. The 12th International Conference on Principles of Practice in Multi-Agent Systems (PRIMA-2009), Lecture Notes in Computer Science, Springer, LNCS 5925, pp. 459-470, 2010.